消えない情報 VS 忘れられる権利

消えない情報 VS 忘れられる権利

インターネットに関連する事件被害報告は年々増えているとのこと。
警察や裁判所に持ち込まれる相談も多く、ここ数年で数十倍になっているというデータも公開されています。
そこから見えてくるのは、誰もがネットの被害者、あるいは加害者になりえるリスクが高まっているということかもしれません。消えることなく蓄積されるネットのデジタルデータが生む危険と、その危険から人を守る新たな権利についてみていきましょう。

忘れられる権利

プライバシー保護
2012年1月、ネット史に残る衝撃的な出来事がありました。
EUの行政機関(欧州委員会)が世界初となるだろうネット関連のルール作りに着手したというニュースです。
いわゆる「一般データ保護規則」についてのアイディアを欧州連合は本気で考えはじめたことが世界的に注目を集めました。

その17条に、「忘れられる権利および消去する権利」が含まれています。
EUの欧州委員会で協議された「忘れられる権利」は、ネットで検索される個人データや当人に不利益となりマイナスの影響を人生に与えつづける情報を「削除・消去」する権利を認めるというもの。
インターネット以前の社会だったら必要がなく、提唱されることさえなかったかもしれない新たな権利は今後ますます重要になってきそうです。

グーグルへの削除判決

裁判
忘れられる権利によって、個人(情報)を守ろうというヨーロッパでの動き。
関連した注目事件に、フランス人女性のヌード映像拡散があります。
2011年11月、過去に一度だけ撮影した女性のヌード映像が数十万という数のウェブサイトで公開され、そのことが理由で就職ができないとして検索大手のグーグルを訴えたのです。

若いときの、しかもたった一度だけとった行動がネット世界に記録され、本人の意図と無関係に果てしなくコピーされ、そのことが人生の障害になってしまったという事例。
30万サイト以上へヌード映像がアップされていたということなので、もしもサイトごとにデータの削除請求を行った場合、全ての映像を消去できる可能性はとても低かったはずです。裁判の結果は、女性の訴えが認められての勝訴
グーグルは検索結果から対象となるデータをすべて削除することになりました。

消えないデジタル情報の行方

フランス人女性のヌード映像事件が伝えているのは、「忘れられる権利」が私たちにとって不可欠だという事実かもしれません。
そうした権利が認められない環境でインターネットを利用する場合、どれだけのリスクを負わなければいけないのか見当がつきません。
例えば、自分で考える力がついていない幼少期に書き込んだ「悪ふざけ」が、ずっと消えることなく、生涯にわたって影響する社会は望ましいものでしょうか。
人の記憶から消え去ったずっとずっと後までも、なかば永久的にネットに保存され、検索されていくだろうデジタル情報の扱い方。
その適切な取り扱いについて、リアル社会が追いつけていないのかもしれません。

安全なネット利用のために

セキュリティー
インターネットには国境がなく、情報が世界のすみずみまで伝達されるのもあっという間です。
しかも、利用者の誰もが自分なりの意見、見解、コメント、作品などを四六時中発信できます。
そして、いったんネットにアップされた情報はSNSで拡散されたり、リツイートされ本人のコントロールが及ばない状態になることも少なくありません。
現実社会ではまったく接点のない、不特定多数の見知らぬ人々がネットの向こう側にいるのだという認識。
どれだけネットに慣れ親しんでいても、目に見えないバーチャルな世界に潜む危険をわかっておく必要があるでしょう。
ちょっとした悪ふざけが二度と消すことのできない汚点になる可能性は誰にでもあるのです。
ネットにアクセスする時には、油断大敵。
自分だけは大丈夫、という思い込みがあったら要注意です。

いやがらせから身を守るには

毎年増えているという、ネット上の嫌がらせや誹謗中傷の被害相談
ほとんどは「匿名」のため、犯人の特定が難しいというのが現状のようです。
ネット上で下手に反論するとかえって注目を集めたり、一般の人であっても炎上までいってしまうケースも。
誰が書き込みをしているのかわからず、解決策が見つからない……。
身におぼえのない事がまるで真実のように書き込まれ、日常生活に支障をきたすという悩みはかなり深刻なものでしょう。
こうした被害から身を守るうえで、デジタルデータの利便性を再認識するのは大切なことじゃないでしょうか。
いったんネットにあがった情報は、不特定多数の人の目にふれ、再利用、シェア、拡散され、あるいはコレクションされることもあります。
写真や動画であれば、加工、編集、アイコラなどの合成によって犯罪的利用をされるケースだって起こりえるでしょう。

また、GPS機能による位置情報の公開やSNSのタグ付けなども、十分に配慮したうえで活用することをお忘れなく!

関連記事

  1. 人は、真実よりも嘘に引き付けられるという研究

  2. 5ch (旧2ch)ネット掲示板による名誉毀損や誹謗中傷への…

  3. 大炎上

    Twitter炎上から学ぶ:人生を破滅させた悪魔のツイートと…

  4. SNS被害にあった時の対策と具体的な対抗措置について

  5. 誹謗中傷記事やネガティブワードをサイトから削除する方法

  6. 海外だけじゃない!日本でも広がるフェイクニュースへ集団訴訟

PAGE TOP