大坂なおみ選手のCMが人種差別で公開停止に

日本国内ではあまり耳馴染みのない「ホワイトウォッシ」が、主に米国で問題視されて炎上につながった事例について見ていきましょう。テニスプレーヤーの大坂なおみ選手がホワイトウォッシングされたとして人気アニメとのコラボCMが批判され、制作した日本の食品メーカーはCMの公開を停止しました。

ホワイトウォッシュ問題

今年の1月に日本の大手食品メーカーのアニメCMが公開中止になった。その原因が、whitewash(ホワイトウォッシュ)という問題です。この言葉にはネガティブな響きがあり、「〇〇のうわべを飾る、ごまかす」という意味や「白人化する、白人に媚びる、迎合する」といった人種差別にあたる意味合いが含まれるようです。「ホワイトウォッシュ」「ホワイトウォッシング」の実例としては、検索すると実に多くの情報が出てきます。たとえば、「映画」というジャンルだけでも紹介しきれないほどの作品がホワイトウォッシュにあたるとして製作やキャスティングの不適切さを指摘され、非難が集中したり、署名運動が起きているケースもみられます。原作とは違う人種をキャスティングしたり、作品が生まれた文化に配慮していない演出がバッシングされたりと様々なパターンで炎上が起こっています。

差別意識の薄い日本


人気漫画『新テニスの王子様』と大坂なおみ選手がコラボした、日清食品ホールディングスのCMで注目されたのが大坂選手の「肌の色」。ハーフ(ミックス)で褐色肌の大坂なおみ選手がモデルになったアニメCMで、実際の大坂選手とは違う肌色で描かれたこと=ホワイトウォッシュでは?という問題になりました。同CMに登場した男性テニスプレーヤー錦織選手と同じような肌のトーンに大坂選手がなっているのはおかしい、という指摘・批判の声が寄せられ最終的には、CMの公開を停止するという事態に。もともとCM動画を大きく問題視したのは日本在住のアメリカ人。その後、米国ニューヨーク・タイムズ紙やCNNなど海外メディアでも、「(大坂選手の)肌が白いと日本で批判されている」と報じられました。さらにニューヨークタイムズからの取材に対して、CMを発信した日清側はホワイトウォッシュの意図はなかった、と表明しつつ配慮が不十分だったことを謝罪。アジア圏でのCM評価と、欧米での反応には乖離があったようです。

どの声が、正しいのか?

今回のアニメCMについて、日本人とアメリカ人の反応にはギャップがあった印象です。そもそも、大坂選手の肌色が実際よりも薄くなっていることの、何がそれほどの問題になるのか?人種の多様性に乏しい日本では、問題の意味をきちんと理解するための実体験や身近な事例が少ないのかもしれません。結果として、ホワイトウォッシュに対するリアクションにも差が生じるのは当然でしょう。ただ、日本の一部メディアが報じたニュース記事に「誤訳」があり、世論をミスリードした可能性もあるようです。なかでも1月25日に出された記事はYahoo!トピックスでも取り上げられ、一気に拡散。内容は、大坂選手自身はホワイトウォッシュのことを気にしていないというもの。むしろ、なぜ騒ぐのかと逆に疑問を投げかけたといった記事で、この内容から派生して国内では「部外者が騒ぐのはおかしい」という「批判を批判する」声が強調される展開になりました。

大手メディアの記事の見出し例:
『大坂なおみ選手「気にしていない」=アニメ広告、肌の色批判で(時事通信)』
『大坂なおみ、アニメ動画批判「なぜ騒ぐ?」逆質問も(朝日新聞)』

当事者が「気にしてない」のだから、(外部から)ホワイトウォッシュ批判する人のほうがおかしい。そういうカウンターを発信する人は、新聞記事以降増えたといわれています。

記事そのものがフェイク!?


ニュースサイトLITERAによると、時事通信や朝日新聞の記事には「誤訳」がありそうです。たとえば、大坂なおみ選手が発言したとされる「気にしていない」に該当するインタビュー記録は見当たらず、その代わりに見つかったのは「I haven’t really paid too much attention to this」という大坂選手の言葉。これは質問された文脈に沿って回答されたもので、大坂選手がこれまでのところマンガ文化の問題に「あまり関心、注意を払ってこなかった」という意味で返答したものです。そして、実際の会見の日清ホワイトウォッシュ問題をめぐるやり取りは以下のようなものだったとのこと。英語インタビューが日本メディアで記事になるときには、翻訳の精度や取材時の文脈について考慮する必要があるのかもしれません。

(以下、LITERAより引用転載)
 大坂選手は、まず、海外の男性記者から“ホワイトウォッシュについて意見がありますか?”などと訊かれて、「私は今このことに集中しています。決勝まで勝ち上がってきて、それが私のメインプライオリティです」(I’m just focused on this right now. I’ve gotten to the final of a slam, and that’s sort of my main priority)と最初は回答を避けた。しかし記者から「社会に意識をもつひとりの人間として」と重ねて問われ、日清と話し合いをし謝罪を受けたと明かしたうえで、「明らかに私の肌は褐色です。明らかですよね。日清がホワイトウォッシュとかそうしたもの(whitewashing or anything)を意図したとは思っていませんが、次に彼らが私や何かを描こうとするときは、私にそれについて話すべきだと思います」と答えた。

参考 LITERA https://lite-ra.com/2019/01/post-4511.html

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