実際に起きた中傷被害の例「スマイリーキクチ中傷被害事件」

実際に起きた中傷被害の例「スマイリーキクチ中傷被害事件」

ホンモノにみえるデマ情報

情報社会といわれる現代。
職種・年齢を問わず、インターネットを使わずに日常を過ごすのは難しくなりつつある。
SNSの普及、利用者の増加によってネット空間は現実社会への影響力を日々強くしているのが実情なのだ。
それに伴って、ネットを安全かつ効率的に使いこなすためのノウハウやリテラシーへの注目も高まっている。

インターネットリテラシーが低い日本

インターネットたとえば、ウェブサイトの情報をそのまま鵜呑みにしたり、信ぴょう性の低いようなブログをPVが多いという理由だけで「ホンモノ」扱いするのは危険。
情報の価値や真偽を、書き込みの数や支持コメントの多さなどで判断する行為は、リテラシーが高いとはいえない。

ある調査によると、世界的にみてインターネットリテラシーが低いとされる日本。
事実無根であり、まったく根拠のみあたらないデマが不特定多数のネットユーザーによって「真実」に仕立て上げられ、数十年という長期にわたって被害者を出した事件について振り返っていく。

実例:スマイリーキクチ誹謗中傷被害事件

1999年ごろ発生したとされるのが、スマイリーキクチ誹謗中傷被害事件。
ことの発端は、1989年に起こった「女子高生コンクリート詰め殺害事件」の犯人が、犯行時に未成年だったことにある。
少年法の規定によって未成年犯罪者の個人情報は守られ、本人が特定されるような情報(実名、顔写真等)は公開されなかった。
(※ 一部マスコミでそれらの情報がスクープされることはあったようだが、決定的に犯人を特定できるものとはいえない)

ネットの噂による犯人のねつ造

悪い噂悪質で残虐な殺人事件に対して、世間の関心は高く、ネット上で犯人像を明らかにする自警団のような動きが出てきた。
インターネットで入手できる情報を検索しながら、なんとかして犯人の実像を明らかにしようとしたのは事件に無関係の一般人だった。

こうしたネットを使った犯人探しで、浮かび上がってきたのがスマイリーキクチだ。

お笑い芸人のスマイリーキクチ氏がネット上で事件の犯人とされたのは、逮捕された(当時)未成年の少年たちと同世代であり、出身地が近かったのが理由とされる。
また、タイミング悪く出版された元警察官の本「治安崩壊」に、「女子高生コンクリート詰め殺害事件」の犯人についての記述があったことも、スマイリーキクチ犯人説を後押しする結果となった。
その本では、犯行グループの一人は出所後に芸能界入りし、お笑い系のコンビを組んでデビューしたと書かれていた。

メディアへも誹謗中傷が殺到

数十年にわたって芸人スマイリーキクチ氏を苦しめることになった、いわれなき誹謗中傷事件。
そのきっかけは、2chなどのネット掲示板で書き込まれた「噂」。

コンクリ殺人事件が起こってから約10年後の1999年、まるで犯人グループの一人がスマイリーキクチであるかのような情報が投稿され、その書き込みは増殖していった。
そのなかには、『スマイリー鬼畜、しね』など誹謗中傷に留まらない強烈なメッセージもあった。

犯人を特定する根拠が曖昧で信ぴょう性に欠ける情報だったにも関わらず、類似の書き込みが続々とネット上に広がり、あたかも事実であるかのように蔓延していくことになった。
とくに、元警察官の著書「治安崩壊」発売以降スマイリーキクチ犯人説は勢いを増し、テレビ局やCMのスポンサー企業にまでスマイリー氏の出演や起用を批難、抗議する声が押し寄せるようになる。

警察による中傷犯人逮捕

2008年、風評被害・誹謗中傷によるダメージを回復すべくスマイリーキクチはブログを開始。
コンクリ事件の犯人ではないことを公言し、ネット上で自分を攻撃したり誹謗中傷を書き込む人に対して注意を促した。

しかし、意図に反してブログは炎上。
警察への相談をしたり、弁護士にも依頼して誹謗中傷への対策を探すことに。

ネット犯罪に強い刑事と弁護士の協力

その年の8月、ネット犯罪に強い弁護士との出会いがあり刑事事件として対処する方向へと動きはじめた。

2008年の9月から2009年の1月にかけて、ネット上でスマイリー氏へ誹謗中傷を投稿した人物を割り出し19人を検挙。
そのうち7人が書類送検され、うち4人が名誉毀損罪によって書類送検となった。

この一連の警察の動きと犯人逮捕によって、ようやくスマイリーキクチ犯人説はデマであるとして本人への誹謗中傷被害は収束する。

匿名による、無責任さ

匿名事実に基づかない根拠なきデマで芸能人スマイリーキクチ氏を追い詰めたのは、匿名のネットユーザーだった。
誰が発信したかもわからないまま、スマイリーキクチ犯人説の書き込みはまことしやかに受け取られ、芸能活動や私生活にまで被害を及ぼす事態へ展開していったのだ。

ネット掲示板に書き込まれた情報の削除を管理者へ依頼しても応じられることはなかったという。
逮捕された書き込み犯は、罪の自覚がとぼしく「他の人もやっているのに何故自分だけ逮捕されるのか」「ネットや本に騙された」など、自らのとった行動への無責任さをあらわにした。

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